1日で漢文が得意になる解き方の話〜④実践編(1)解説
今回は実践編(1)の解説になります。まだ問題を解いていない人は必ず解いてから読んでくださいね。
じゃないと話がわからないのと知ったような感じになって満足してしまうので気を付けてくださいね。
最初の実践編ということで基礎的な問題をピックアップしてみました。
文字数は94文字とTwitterより少ない!
ということでサクッと読めたんじゃないかなと思います。
句型や文法も基礎しかないのでそこまで難しい部分はありません。
特に今回は最初ですし、どんな風に練習していけばいいのかが分かればそれでOKです。
問題が分からなくても問題ないです。
ということで、私なりに本文への書き込みを最初に見せたいと思います。
↓
作業1.重要語句と句型に目印をつけよう
私の場合は重要単語は青、句型は赤というように目印をつけていきます。
この作業を繰り返しすることでインプットからアウトプットをする訓練をしていきます。
最初のうちは文法のテキストを読みながらでも大丈夫です。
本文の文字を見て①読み方、②文法、③意味をイメージできるようになれば漢文の勉強はOKです。
作業2.文型、品詞(SVOCPM)を見分けよう
最初は主語(S)は何か? 動詞(V)は何か? 目的語(O)は何か?
というような簡単な文型、品詞分解で問題ないです!
私も修飾語(M)といいつつ、副詞だったり、前置詞だったり、他の品詞には分類できないものを修飾語(M)として分類してしまうことが多いです。
最終的には自分が分かれば問題ないので基本さえ押さえていけばOKです。
作業3.比較には注意しよう!
漢文に限らずですが比較が頻出です。見逃さないように〈〉で目印を付けるなど工夫しましょう。
一応、本文の読解と問題の解説をしていきたいと思います。
第1文「林羅山洽博、於天下書、無不読。」
この文のポイントは①「於」と②「無不〜」です。
①「於」の用法は置き字(助詞)、修飾語、受身、比較、抑揚形など多岐に渡ります。
ここでは修飾語としての用法です。「天下の書において」と範囲を限定していると考えるのが妥当でしょう。
②「無不〜」は二重否定の重要句型です。結局は強い肯定の意味になります。
「無不読」は「読んでいないものはない」という意味になりますので結局「全部読んだ」という意味になります。
品詞分解すると「林羅山(S)/洽博(P)、〈於天下書(M)〉、【無不】読(V)」となるでしょうか。
第2文「其所著凡百有余部、皆可伝也。」
この文のポイントは①「凡」、②「可」です。
①「凡」は重要語句です。「およそ」と読みます。主に副詞として用いられます。意味は「すべて、おしなべて、そもそも」とです。英語でいうAllですね。
あわせて「大凡(おおよそ)」がありますが、こちらは「だいたい」という意味です。英語でいうAlmostです。
若干の違いがありますので注意しましょう。
②「可」は英語のCanと同じです。「〜できる」という可能を表したり、「〜するべき」という義務を表したりします。
品詞分解すると「其所著(S)〈凡(M)〉百有余部(P)/、皆(S)【可】伝(V)【也】」となります。
→意味がちょっと分かりづらいかもしれないですが、「著作が百以上あって、それは伝えるべきだ」ということなので
補ってあげると「その(林羅山の)著作は全部で百部余りあって、すべて後世に伝えるべきものである」となります。
第3文「本集百五十巻」
この文のポイントは特にありません。「(林羅山の)本集が百五十巻もある」という意味です。
第4文「雖詞不工、其言足徴者甚多」
この文のポイントは①「雖」、②「足」、③「者」ぐらいでしょうか。
すべて重要語句ですので押さえて置きましょう。
特に「雖」と「足」は入試では頻出の単語になりますので分からない人は教科書で確認しましょう。
問題文より「雖詞不工」は「詞工みならずと雖えども」と書き下すようです。
・「詞」は「台詞」や「歌詞」といったように「ことば」としての意味を持つようです。
・「工」は「巧み」と同じ意味です。
・「雖」は「いえども」と読み、〈逆接〉の接続語です。
後半の「其言足徴者甚多」は「其の言徴足る者甚だ多し」と書き下します。
「(林羅山の)言葉遣いは巧みとはいえないものの/その言論は引用するに値するものが非常に多い」という意味になります。
◎「者」の多様な用法
「者」には多様な用法があります。
それ自体の意味として「もの・こと・人・場合」を表します。
「ー(スル)者[は]」で「〜するのは、〜する場合は」というような意味にもなります。(提示の「者」)cf.「也」
「何者[なんぞ]ー」で「誰が〜のか」というような疑問(who)というような用法もあるので注意が必要です。
第5、6文「暮年視聴不衰。勤力猶少年。」
ポイントは①「猶」の用法と②「勤力」の訳出でしょう。
①「猶」は再読文字です。「猶ほ〜のごとし」と読み、「ちょうど〜のようだ」という意味になります。
「猶ほ少年のごとし」は「まるで若いときのようだ」という意味になります。
②「勤力」の訳出についてはここまでの文脈で確定しなくもないですが、後の文章を読んで自信を持って解答しましょう。
それでも結局「本を読む姿勢(意欲)」であることは明らかではないでしょうか。。。
根拠としては「於天下書、無不読。」や「二十一史、自少読之者数回。」など「本を読む」ことが主題なわけですからそこまで難しくはないのではないでしょうか。
品詞分解すると「〈暮年(M)〉/視聴(S)不衰(V)/、勤力(S)猶少年(P)」という感じかなと思います。
第7、8文「二十一史、自少読之者数回。而晋書以下未句。」
重要語句の「自」、「少」、「者」、「而」、「未」と続きます。
◎「自」は「自[みずか]ら」や「自[おのずか]ら」、「〜より」といったように読みと訳出に注意しなければならない単語です。
・「自[みずか]ら」=「自分から、自分で」
・「自[おのずか]ら」=「自然に、当然に」
・「自[より]ー」=「〜から」
「少き」→「幼少」というような熟語を想像してもらえればOKです。
少年の「少」も「若い」という意味です。
「而」は色んな用法がありますが、文頭の場合は〈逆接〉の接続語「而[しか]れども」と読み、「しかし〜」という意味。
「未だ〜ず」は再読文字です。「まだ〜しない」(=not yet)という意味です。
品詞分解すると「二十一史(S)、〈自少(M)〉読之者数回(P)」でも構いませんが、
正確には「林羅山が少きより二十一史を読むこと数回」なので「二十一史」は前に出た目的語?とも取れますが
読めればOKなのでさらっと流して大丈夫です。
第9、10文「及年七十四、欲遍句之。是歳、晋書・宋書・南斉書、畢業翌年蓋棺。」
ポイントは①「欲」、②「遍」、③「畢」でしょうか。
①「欲」は願望形と呼ばれる句型です。意味は「〜したいと思う、〜しそうだ」というwant to/be going toのようなイメージ。
願望形には「願[ねが](わくは)ー(せよ)/(せんことを)」=「どうか〜してください/させてください」や
「請[こ](ふ)ー(せよ)/(せん)」などもあるので覚えましょう。
→「欲」、「願」、「請」は願望形と覚えましょう。
②「遍」(あまねく)は重要語句です。「すみずみまで」という意味です。
③「畢」は「終」と似たものになります。今でも「畢竟(ひっきょう)」=「結局は/つまり」という意味で用いられます。
遂・終・卒・畢・竟は「ついに」と読み、「結局、とうとう」という意味を持ちます。
「終」は「終わる」という読みと意味を持ちますが、今回の「畢」も同様の用法です。
また「卒」には「にわかに」という読みがあり、「急に」という意味があるので注意しましょう。
*また今回の「蓋棺」の意味を類推するのは難しいかもしれませんが、「棺」という文字もあるので
ここでは「亡くなった」と連想できればOKです。
品詞分解すると「〈及年七十四(M)〉、欲(V){〈遍(M)〉句(V)之(O)}/、〈是歳(M)〉、晋書・宋書・南斉書(M or O)、畢(V)業(O)/〈翌年(M)〉蓋(V)棺(O)」となります。
本文を通して林羅山が主語なので省略されていますが補ってください。
後半の「晋書〜」は主語ではなく、先ほど同様、「業」(つまり晋書〜を読むこと)の内容が前に出てきていると考えるのが正確なのかもしれませんが読めればOKです。主語は林羅山なので「林羅山が全部読み終えた」と読めれば正解。
さて全文を重要語句・句型と品詞分解について見てきました。
やってみると結構作業に近い感覚なのではないでしょうか???
漢文は最初に手をつける作業は頭をほとんど使いません。
漢文で頭を使うのは白文書き下し、現代語訳、内容の読解、単語の連想ゲーム、送り仮名の補完くらいです。
これも慣れてくると作業に近い感覚になりますので実践していきましょう。
では一応問題にも触れておきましょう。
↓
問1 「於」と「自」の読み
これはよく見かける問題ですね。
・「於」は「おいて」しかないので即答できます。あとは置き字の用法「ヲ・ニ・ヨリ・モ」くらいです。
・「自」は「みずから」、「おのずから」、「より」と読みますので②か⑤しかありません。
「みずから」と「おのずから」は副詞としての用法なので返り点がつくことはありません。
「自○」という形で「〜より」と読むのでこれもほぼ即答できます。
問2 「雖詞不工」の返り点をつける
返点をつける問題はセンターでもありますが、内容に合致するように返点をつけることが多いです。
「詞工みならずと雖えども」と問題文に付されているのはかなり易しめです。
読む順番が分かりますので返り点のルールに則りましょう。
「雖[4]、詞[1]、不「3」、工[2]」なので「雖」には二点、「不」には一レ点が付きます。
ヒントなしでも品詞分解すれば同様の解答が導けます。
「〈雖(M)、詞(S)、不工(V)〉」なので簡単ですね。
問3「足徴」の「足」の意味
ここでの「足」は「〜足る」という意味です。
①の「充足」(=みたす)の「足」が正解です。
②〜④は全部「あし」ですね。
問4 「勤力猶少年」の口語訳
ポイントは①「猶ほ〜のごとし」の訳出、②「勤力」の訳出です。
書き下しがまずできるかというのがポイントです。
「猶」は再読文字ですので気を付けてくださいね。
書き下すと「勤力猶ほ少年のごとし」となります。
直訳すると「勤力はまるで若いときのようだ」となります。
※「少年」≠「少年(子ども)」ですので注意!あくまで「若いころ」と訳出しましょう。
次に「勤力」とは何だとなります。
ここまでの文脈でも理解できますが、後ろの文章もよく読んで解答しましょう。
「勤力」=「読書する意欲」ですね。
このポイントをまとめて口語訳すると
「(林羅山の)読書に対する意欲はまるで若いころのようだった」となります。
→「(林羅山は)若いころと同じように読書に励んだ」でも可(◎)。
問5 内容正誤
内容に合致するものを選びましょう。
①→「推薦した」とは書いていません。
②→「書物を利用して/歴史書の解説をした」どちらも書いていません。
③→「及年七十四」以降の内容に合致します。正解です。
④→「精読を優先した」とは書いていません。むしろ多読してますね。。。
※書き下し文と現代語訳を載せておきますね。
↓
実践編(1)の解説は以上になります。難しかったかな? でも漢文は基本を押さえてしまえば簡単ですので、少しずつ実践していきましょう!!!
分からないところがあったらdmでもなんでも質問してくださいね。ではでは〜〜。
1日で得意になる漢文の解き方の話〜②句型脳筋トレーニング編だよ
文型5割、句型4割、残りの1割やる気の漢文解説だよ。
今回は句型を解説していくよ。
・句型をおぼえるの面倒くさい〜。
・句型意味わかんない〜。
と言う人は現実を見ましょう。
句型は暗記!!!!
句型ができなかったら漢文は読めません。諦めてください。
でも少しくらい分かりやすくは解説してみますので、ここはトレーニングだと思って頑張ってください。
0)句型の全体像
前回の最後に全体像をまとめてましたのでコピペ。
(1)再読文字
(2)使役形
(3)受身形
(4)否定形
(5)疑問・反語形
(6)比較形
(7)限定形・累加形
(8)抑揚形
(9)その他
(10)接続語
今回扱うのは(1)〜(3)の再読文字〜受身形までを一気に解説していくよ!
詳しい解説は先生に聞くのが一番だからね……??? そこんとこヨロシク。
1)再読文字(未、将、且、当、応、須、宜、猶、盍) 〜2回も読ませるハッピーセット!〜
再読文字というのは2回読む特殊な句型です。だいたい9個でカバーできるから安心してください。
※書き下し文では2回目の読みは仮名書きにするルールも忘れずに。
①未 [ 未ダ〜(セ)ず] (not〜yet) まだ〜しない
《②、③は「まさに〜」》
②将 [将ニ〜(セ)ントす] (will going to〜) いまにも〜しようとする(〜しそうだ)
且 [且ニ〜(セ)ントす] (will going to〜) 〜するつもりだ
《③、④、⑤は「〜べし」》
③当 [当ニ〜(ス)べし] (should)当然〜すべきだ 〈適当・勧誘〉
応 [応ニ〜(ス)べし] (should)きっと〜するにちがいない 〈推量〉
④須 [須ラク〜(ス)べし] (need)〜しなければならない(〜する必要がある)
⑤宜 [宜シク〜(ス)べし] (better)〜するのがよい
⑥猶 [猶ホ〜(スル)ガごとし] (just like)ちょうど〜のようだ
※名詞+「の」ごとし ※連体形+「が」ごとし
⑦盍 [盍ゾ〜(セ)ざる」 (why not)どうして〜しないのか(〜してはどうか)
=「何不〜」…マニアックな話ですが「盍(カフ)」=「何不(カフ)」の仮借文字(音を借りる文字)なのです。。。
句型が出てきたら○で囲ってわかりやすくしておくといいですよ。
2)使役形(使、令、命、遣) 〜兼語式のSはドSのS〜
使役形は「AにVさせる」という意味です。
用法は大きく4つのパターン! ①助動詞、②本動詞、③文脈、④仮定法です。
①助動詞[S使AV] AにVさせる
②本動詞[S命AV] Aに命令してVさせる(遣:Aを派遣してVさせる)
命、遣 →「これ自体が動詞になるよ」ってこと
③文脈 [__V(セ)シム] 〜させる
④仮定法[S使(メバ)AV] もしAがVしたら〜
◎兼語式をマスターすれば使役形は怖くない!
使役形の文型は「SVO(V)O」の文型をとります。これは使役の目的語であるAが後ろのVOのSを兼ねています。
例えば、2019年早稲田大学教育学部(四)三行目「公命従者去之」は書き下すと「公は従者に命じて之を去らしむ」となります。
この文章は「公(S)命じて(V)従者に(O=S)去らしむ(V)之を(O)」と分解できます。
「公命従者/従者去之」の2つの文章を「従者」を軸に合体させた文章が元の文章になるわけです。
このように一つの語が2つの文法的役割を兼ねている文を兼語式といいます。
あまり難しく考えずに「SVO(=S)VO」と覚えてしまいましょう!!
3)受身形(見、被、為、所) 〜らんらんるー〜
受身形は「〜される」という意味。主に「ら・らる」が付く。でもないのもあるから注意しなきゃいけない。
基本的には3パターン。①助動詞、②前置詞、③文脈です。
①助動詞(見、被、為、所)[〜(セ)らる]※目的語なし
《為A所V》
→読み方はいろいろあるけど白文書き下しで絶対に「Aの為(ため)にVせらる」だけは絶対に使っちゃダメです。
→この場合は「AにVせらる」と書きましょう。
②前置詞(於)[V於A:AにVされる]※目的語なし
《①と②の複合形》[見V於A:AにVされる]
③文脈[__(セ)らる]※目的語なし
※受身の助動詞は四段活用のときは「る」、それ以外の活用のときは「らる」だよ!
句型といっても覚えるだけだから難しくないよ。うんうん。大事なのは実践あるのみだからね。
否定形以降は実践編で解きながら解説していこうと思うよ。
ということで最後に実践編に向けての準備を3つするよ。
4)文章を読むときのルール① SVOCPMは必ず書こう!
文型の理解ができれば漢文は飛躍的に読めるようになるよ。面倒くさがらずに全部の文字に品詞を書いていこう!
Mってなあに?って思った人がいるかもしれませんが修飾語のことです。
例えば、「私は日本にいますと」いう文章は「我有於日本」ですが、
品詞分解すると「我(S)/有(P)/於日本(M)」となります。
基本的な文型は「我有(SP)」ですが、それを修飾する語が修飾語(M)にあたります。
5)文章を読むときのルール② 意味が分からない漢字は熟語連想ゲーム
漢字の意味が分からないことって多いんじゃないかなって思います。
出題者のイジワルかもしれませんが(?)意味もなく注釈をつけていないわけではないと思います。
意味のわからない漢字に直面したときの対策は2つあります。
①:文脈から推測する
これは英文読解でも王道のパターンです。でも大変ですよね。すごく大事な能力です。
②:熟語連想ゲーム
これは熟語の成り立ちに着目して意味を推測する方法です。
例えば、「色」という漢字にはどんな意味があると思いますか??
もしかしたら「色」は重要語句なので意味を知っている人もいるかもしれませんが、
「顔色」という言葉がありますよね。色には「(顔の)表情」という意味があります。
文脈からでも分かるかもしれませんが、そういえばこういう熟語があるぞ!って分かれば
文脈だけに頼らずに意味を推測することができます。こういう想像力も漢文には必要です。
6)文章を読むときのルール③ 重要語句や基本句型は○で印をつけていこう!
視覚的に漢文を捉えることは大事なことです。特に書き下しや現代語訳、白文読解においては句型や重要語句はその指針になります。
この語は否定かな?疑問かな?反語かな?という感じで○をどんどんつけていこう!
練習も本番もこの作業をすると絶対にミスしなくなります。
何回も言っていますが、漢文は実践あるのみです。最終的には機械的に処理していくことができるくらいまで訓練できれば完成です。
センター試験の漢文での目標は7〜8分で満点です。二次試験の目標は白文書き下し文and現代語訳ができるレベル。
基本動作がしっかりとできていれば無理な目標ではありません。時間も書きられた中での漢文学習ですから効率よく学習していきましょう!
次回はとうとう実践編に映っていきたいと思います。みんなもがんばってね!!
1日で得意になる漢文の解き方の話〜①導入編だよ
受験シーズン真っ只中!毎日勉強お疲れさまです。。。
センターも近くなってきましたが、みなさん漢文の調子はいかがですか??
センターだけしか使わないよ!って方もいれば、二次試験にもあって大変だって方も様々いるかと思います。
でも正直、あんまり時間をかけたくない!って方がほとんどじゃないでしょうか??
・漢文より英語! 漢文より数学! 漢文より地歴! 漢文より理科!
・漢文なんかに時間を使ってられないよ!!
・でも、漢文の解き方いまいち分からない。。。
という声が聞こえてきます……。
でも安心してください。漢文マスター(自称)のるなるなが解き方を教えちゃいます。
自分の解き方があるよ!って方は参考までにで構いませんので読んでみてください。
1)漢文にも文型があるよ! (←漢文読解の50%はこの部分です!)
漢文を学ぶときにスルーされがち…というかあまり指導されないと思いますが、漢文にも文法があります。
「なーんだ、句型の話か。何(いずくんぞ)なんとかとかだろ〜?」と思った貴方は残念ながら被害者です。
結論を言えば、漢文の文法(文型)は英文法とほぼ一緒です。
つまり…
①SV(第1文型)
②SVC(第2文型)
③SVO(第3文型)
④SVOC(第4文型)
⑤SVOO(第5文型)
※S(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)
が存在します。漢文を解くときはS、V、O、Cを意識すれば飛躍的に読みやすくなります。
この前提は白文読解において非常に重要なポイントです。知らないと爆死します。
ちょっとマニアックな話になりますので割愛しますが、漢文の文型解釈においては
P(predicate:述語)というものを使う場合があります。
これがややこしいとは思いますが漢文と英文の違いです。
英文では述語は「動詞」しかありませんが、漢文では「名詞」や「形容詞」も述語になる場合があります。
例えば、2019年東京大学第3問の1文目は「学校所以養士也。」とあります。
一応書き下すと「学校は士を養う所以なり」です。 ※「所以(ゆえん)」は重要単語だよ!
これを文解釈すると『「学校(S)」は「所以(P)」である。』
どんな「所以」かというと「養う(V)」、(何を〜)「士を(O)」となる。
まとめると「学校(S)は所以(P)である/養う(V)士を(O)」となるわけです。
これを少し訳(現代語訳→✕)すると「学校は士を養う場所(手段)である」となります。
ここではなんとなくイメージできればいいです。まだ「ホントかな〜??」くらいで構いません。
もっと漢文について理解を深めていきましょう。
2)置き字(於、于、乎、而 etc…)とはなんだ?答えは下にあるよ!
「置き字は読まなくていいし、無視していいよ」って教えられて信じていませんか??
それは半分正解で半分間違いです。
置き字にも意味はあります!!!
そして実は読む場合もあります!!!
でも送り仮名にあるから半分無視して大丈夫。
これを知らないと白文読解で爆死(ry
置き字というのは英語で言うと「前置詞」、「接続詞」、「助詞」としての働きがあります。
大まかには四つのパターンを知っておきましょう。
①前置詞(於、于、乎)[〜ヲ・ニ・ヨリ・モ]
受身や比較の意味も表す場合があるけど、だいたい送り仮名でわかります。fromとかそういう意味。
※「於(お)いて」ってよく使うよね!
②接続詞(而)[テ・シテ・モ・ドモ・ニ]
接続〈順接:そして〉〈逆接:しかし〉の意味だけ。だいたいは送り仮名で(ry
※文頭の「而」は「しかして、しかうして〈順接〉、しかれども、しかるに、しかも〈逆接〉」とか読むから気をつけてね。
③断定(矣、焉、也)[ナリ(也)]
也だけ「ナリ」と読むナリ。意味はそんなにありません。「矣>焉>也」と強さが違うくらい。
④疑問・反語・詠嘆(乎、哉、也、耶、邪、与、歟、夫)[ヤ・カ・カナ]
疑問と反語の句型でよく見かけるやつ。
3)句型の習得と単語の習得←あとは脳筋〜お願いマッスル〜
ここまでくれば後やることは句型の習得と単語の習得です。
これは次回まとめてしましょう。でも大まかに何があるのかをまとめておきますね。
(1)再読文字(助動詞)
(2)使役形(助動詞と兼語式)
(3)受身形(助動詞〜サ変)
(4)否定形(not V)
(5)疑問・反語形(5W1H+SV〜)
(6)比較形
(7)限定形・累加形
(8)抑揚形
(9)その他
(10)接続語
だいたい英語と一緒。難しくないです。面倒くさいだけ。実践あるのみですよ!!!
レッツ!トレーニング!!!
鷺沢萠「川べりの道」解説編2
前回の解説の続きになります。
まだ読んでない人は読んでからきてください。読んでも楽しくないよ。
問3の問題解説からしていきます。
問3 選択問題ー理由(心情)
「わざと時間をかけて靴ひもを結ぶ」とあるが、「吾郎」はなぜこうするのか。
背景→心情→言動の形式で考えてみましょう。
【背景】?
【心情】?
【言動】「わざと時間をかけて靴ひもを結ぶ」
今回の問題は吾郎の「心情」を問われています。前提となる【背景】を本文から見つけ、【言動】に繋がる論理を考えましょう。
【背景】には何が入るでしょうか。吾郎は父の住む家に着いたものの「女の人が今帰ってくるかと気が気でな」く、「早く帰りたいという気持ちでいっぱい」です。そう考えると、「早く帰りたい」のに「わざと時間をかけて」います。それは父から生活費を受け取るという自分の「役目」を果たさなければならないからです。この2つの背景を押さえれば、答えは消去法でも出てきます。
【背景】①早く帰りたい
②自分の役目(=生活費を受け取ること)を果たさなければならない
【心情】?
【言動】「わざと時間をかけて靴ひもを結ぶ」
・選択肢の精査
(イ)父の自分を焦らすような振る舞いに負けてしまわないため→意味不明
(ロ)自分に対する親愛の情をかみしめるため→早く帰りたいという背景に矛盾
(ハ)繰り返す儀式のような行動
→スムーズに終わらせたいという背景や言動に一致。これが正解。
(二)お金を受けとるのは嫌なことであり、無意識のうちに遅らせたい
→お金を受け取ることが嫌なことという根拠(背景)がありません。
(ホ)心の中にくすぶっている父への不満や怒り→根拠(背景)がありません。
【採点基準】(ハ)を選んで、6点
問4 説明問題ー理由(心情)
「吾郎はそのとき、なぜだか心の中で『ヤバいな』と呟いた」とあるが、このときの吾郎の心情を説明しなさい。
【背景】?
【心情】?
【言動】「吾郎はそのとき、心の中で『ヤバいな』と呟いた」
背景には、「学校の友人から、お前はさめてると言われ」、自分だけの秘密であるはずの、たちの悪い趣味を見つけられたような気がしている。吾郎は自分を偽っているような気がしている。
【背景】①学校の友人からの指摘
②自分を偽っているかのような気がする
【心情】?
【言動】「吾郎はそのとき、心の中で『ヤバいな』と呟いた」
【解答例】学校の友人からの指摘に自分を見透かされたように感じているとともに、自分を偽ったまま周囲に合わせている自分を気がかりに感じている心境。
【採点基準】
①友人の指摘に自分を見透かされているという心情を記述して4点
②自分を偽ったまま周囲に合わせているという背景に3点
③またその自分を気がかりに感じているという心情を記述して3点
問5 説明問題ー心情・要約
「父」は「吾郎」や「時子」にどのような感情を抱いているか、本文全体を踏まえて説明しなさい。
本文全体を通して、父の吾郎や時子に対する心情を要約させる問題です。要約というよりは心情の説明になりますが、全体を背景とした父親の言動を踏まえた心情の考察とでも考えるべきでしょうか。
細部を見るというよりは大まかな流れ、つまり木を見るのではなく森を見る必要があります。
父親の描写としてポイントとなる部分を考えてみましょう。
①父の状況
吾郎と時子と別居。女と一緒に暮らしている。
②父との繋がり
毎月一度の生活費のやりとりのみ。僅かながらのつながり。
【解答例】
吾郎や時子ではなく女と一緒に暮らすことを選んでいることに父親としての後ろめたさを感じており、二人との関係が切れることを恐れるなかで、毎月吾郎が生活費を受け取るときに優しく接することで、二人とのつながりをなんとか維持していたいと思っている。
【採点基準】
①二人への後ろめたさ…5点
②関係の崩壊への恐怖…5点
③優しく接することで
④繋がりを維持したい…5点
3.まとめ
川べりの道を解説してきました。以前紹介した椎名麟三「神の道化師」と似たような設定でしたね。しかし、神の道化師は絶望の中の僅かな希望を描いているとしたら、川べりの道は永遠に続く救いのない絶望なのかもしれないですね。柔らかいタッチで繊細に描かれた心情の描写には高校生とは思えないレベルです。天才とはこのことですね。どんなに時が経っても色褪せない名作の一つです。
また見てくださいね。
それではお疲れ様でした。
鷺沢萠「川べりの道」解説編
みなさん、お久しぶりです。
現代文解説シリーズのお時間です。
だいぶ前に柄谷行人の「探究Ⅰ」と鷺沢萠の「川べりの道」の2作品を投稿しました。
今回は鷺沢萠の「川べりの道」の解説をしていきたいと思います。
まだ読んでいない人や解いていない人は是非読んでから解説を見ていただけると楽しめるかと思います。
目次は以下の通りです。
1.鷺沢萠について
2.問題解説
3.まとめ
それでは、どうぞ。
1.鷺沢萠について
鷺沢萠(さぎさわめぐむ)という作家をみなさんは知っていますか。知らない人が多いかもしれませんね。私の私見ではありますが、彼女はまさに天才と呼べる作家であると思います。読んでみた方なら分かると思いますが、表現が繊細で心地よさを感じると思います。特に背景、心情の描写が直接私たちに伝わってくるような感覚さえ覚えてしまいます。そんな彼女の処女作と言えるのが今回の「川べりの道」になります。そしてこの作品は彼女が当時18歳、つまり高校3年生の時に書いた小説なのです(私と同じ年齢ですね…)。そしてこの作品は当時史上最年少の文學界新人賞に選ばれます。そして彼女は女子大生作家として作家人生を歩んでいきます。その後は芥川賞候補に3回選ばれますが、2004年4月11日に35歳で自殺してしまいます。彼女の死は太宰治や芥川龍之介、三島由紀夫と言った文学界の天才たちと同様の衝撃を与えました。もう彼女の作品の多くはそこまで有名ではありませんが、今でも色あせない名作が残されています。ぜひ興味があれば他の作品も読んでみてはいかがでしょうか。今回の川べりの道は文集文庫の「帰れぬ人びと」(1992年)に収録されています。
2.問題解説
問(1)語句の意味
語句の意味問題はセンターではお馴染みの問題になっていますね。解き方には2つありますが多くの人は前後の文脈から推測するという解き方をする人が多いかなと思います。決してそれは間違った解き方ではないですし、むしろ正攻法ともいえる問題だと思います。しかし、語句の意味は漢字と同じように暗記の分野であると私は思います。センターの問題や大学二次試験においても表現として重要な語句は頻出で問われます。現代文の単語帳にも記載されていることが多いですので、漢字と同様に暗記してしまいましょう。なぜ暗記するかといえば、時間がもったいないというのが一番です。今回の問題の(1)、(3)は頻出の問題ですし、暗記の通りの意味です。知っていれば1秒で解ける問題なので時間が足りないよという人は是非単語帳の語句の意味を暗記するのも一つの手だと思います。どうしても前後の文脈から推測しなければならない問題も出題されますので、基本暗記で分からない場合は文脈から判断するという解き方の方が合理的であるといえます。
(ア)所在なげに
「所在なげ」は「手持ち無沙汰な様子」を意味します。正解は(ホ)になります。
(イ)鼻面を突然はたかれたかのような顔
前後の文脈から推測しなければならない問題です。
「じゃ、俺もうそろそろ……」
【鼻面を突然はたかれたような顔】
をして、父は「そうだな」と不興そうな短い声を出す。
消去法でも分かりますが、苦痛でも、怒っても、泣きそうでも、いらだたしい様子でもなさそうなのは明白ですね。代入してみるとよく分かりますが、適切なのは「びっくりしたような顔」でしょう。
もちろん、父が実際に「びっくりしている」わけではないです。あくまで「ような」顔ですから。
ごまかしというかそんな感情が垣間見えますね。正解は(ロ)になります。
※記述で「びっくりした顔」と書いたらたぶん減点です。結構重要なポイントです。選択問題なので難易度は易しいです。
(ウ)ぶっきらぼうに
「ぶっきらぼう」は「愛想がない」ことです。正解は(イ)になります。
【採点基準】各3点×3問=9点。
(ア):(ホ)と答えて3点
(イ):(ロ)と答えて3点
(ウ):(イ)と答えて3点
問(2)説明問題ー理由
「川べりの道は長かった」とあるが、なぜ「長かった」のか、説明しなさい。
理由説明の方針は①因果関係を説明する、②意味内容を説明するの2パターンです。
次に傍線部を分析しましょう。
「川べりの道は長かった」とありますが、「川べりの道」=「長かった」と分解できます。
・「川べりの道」とは何か……①
・「長かった」のはなぜか……②
この2点を答えなければなりません。
①「川べりの道」とは何か=意味内容の説明
②「長かった」のはなぜか=因果関係の説明
ここまで問題を分析できれば、本文を精査しましょう。
①「川べりの道」とは何か
吾郎と時子の生活費を女と暮らす父から貰うために通る土手道が本文における川べりの道の説明です。少し読み進めないと川べりの道を吾郎がなぜ歩いているのかが分からないのでちょっと難しいかもしれません。
②「長かった」のはなぜか
川べりの道は「実際には、さほど遠い距離ではなかったのかも知れない」。けれども、吾郎には「長かった」。
吾郎にとって川べりの道はどんな道だったのでしょう。
・「ゴム底の運動靴の足の裏に感じられる尖った石の感覚は、ある哀しさを伴って伝わってきた」
・「ひと月のあいだで様変わりしてしまうそれらの風景をぼんやり眺めながら、吾郎はおなじみになった土手道を歩くのだった」
・「そういったものを聞くと、吾郎は胸が圧されるような気分になって…テレビの画面を映して赤くなったり青くなったりしているのを見ると、なぜか安心して前を向いて歩き出すのである」
・「不思議に思うのは、あの川べりの道を歩いている間は、早く父に会いたくて、というより早くこの家に着きたくて仕方がない……」
吾郎にとっては「ある哀しさ」がある道のようですね。様変わりする風景の中である種の不安を感じ、父の住む家に早く着きたいという感情があるみたいですね。ここまで来たら解答は書けると思います。
【解答例】
自分と姉から離れ、知らない女の人と暮らす父親の家に毎月生活費を貰いに行く道は、様変わりする風景の中で垣間見る住宅街の生活にある種の不安を感じさせ、早くその家に着きたいと思うほど哀しい道であったから。
結構難しい問題でした。難易度は【やや難】といったところでしょうか。最初の読解問題が難しいと全体の読解にも影響することを考えると最も重要な1問であったと思います。
※背景→心情→言動という形式にも当てはまります。 例)「川べりの道」→「不安・哀しさ」→「長かった」
大体の問題は「背景」や「心情」を説明しなさいという問題が多いのですが、両方説明しなければならないのはなかなか難しい問題ですね。とっつきにくさも感じられますね。
【採点基準】
①「川べりの道」とは何か(意味内容)を説明して5点
②「長かった」のはなぜか(因果関係)を説明して5点
*某予備校の模範解答は不安を「孤独感」と解していましたが、そこまで読み取れるでしょうか?ちょっと私には分からないですね。だれか教えてください。
長くなってしまったので次の記事で問3〜問5を解説します。
またみてくださいね。