r_u_x_n_a’s diary

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1日で漢文が得意になる解き方の話〜④実践編(1)解説

今回は実践編(1)の解説になります。まだ問題を解いていない人は必ず解いてから読んでくださいね。

じゃないと話がわからないのと知ったような感じになって満足してしまうので気を付けてくださいね。

 

最初の実践編ということで基礎的な問題をピックアップしてみました。

文字数は94文字とTwitterより少ない!

ということでサクッと読めたんじゃないかなと思います。

 

句型や文法も基礎しかないのでそこまで難しい部分はありません。

 

特に今回は最初ですし、どんな風に練習していけばいいのかが分かればそれでOKです。

問題が分からなくても問題ないです。

 

ということで、私なりに本文への書き込みを最初に見せたいと思います。

 

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作業1.重要語句と句型に目印をつけよう

 

私の場合は重要単語は青、句型は赤というように目印をつけていきます。

この作業を繰り返しすることでインプットからアウトプットをする訓練をしていきます。

 

最初のうちは文法のテキストを読みながらでも大丈夫です。

本文の文字を見て①読み方、②文法、③意味をイメージできるようになれば漢文の勉強はOKです。

 

 

作業2.文型、品詞(SVOCPM)を見分けよう

 

最初は主語(S)は何か? 動詞(V)は何か? 目的語(O)は何か?

というような簡単な文型、品詞分解で問題ないです!

私も修飾語(M)といいつつ、副詞だったり、前置詞だったり、他の品詞には分類できないものを修飾語(M)として分類してしまうことが多いです。

最終的には自分が分かれば問題ないので基本さえ押さえていけばOKです。

 

 

作業3.比較には注意しよう!

 

漢文に限らずですが比較が頻出です。見逃さないように〈〉で目印を付けるなど工夫しましょう。

 

 

 

一応、本文の読解と問題の解説をしていきたいと思います。

 

 

第1文「林羅山洽博、於天下書、無不読。」

 

 

この文のポイントは①「於」と②「無不〜」です。

 

①「於」の用法は置き字(助詞)、修飾語、受身、比較、抑揚形など多岐に渡ります。

 ここでは修飾語としての用法です。「天下の書において」と範囲を限定していると考えるのが妥当でしょう。

 

②「無不〜」は二重否定の重要句型です。結局は強い肯定の意味になります。

 「無不読」は「読んでいないものはない」という意味になりますので結局「全部読んだ」という意味になります。

 

品詞分解すると「林羅山(S)/洽博(P)、〈於天下書(M)〉、【無不】読(V)」となるでしょうか。

 

 

第2文「其所著凡百有余部、皆可伝也。」

 

 

この文のポイントは①「凡」、②「可」です。

 

①「凡」は重要語句です。「およそ」と読みます。主に副詞として用いられます。意味は「すべて、おしなべて、そもそも」とです。英語でいうAllですね。

  あわせて「大凡(おおよそ)」がありますが、こちらは「だいたい」という意味です。英語でいうAlmostです。

 若干の違いがありますので注意しましょう。

 

②「可」は英語のCanと同じです。「〜できる」という可能を表したり、「〜するべき」という義務を表したりします。

 

品詞分解すると「其所著(S)〈凡(M)〉百有余部(P)/、皆(S)【可】伝(V)【也】」となります。

→意味がちょっと分かりづらいかもしれないですが、「著作が百以上あって、それは伝えるべきだ」ということなので

補ってあげると「その(林羅山の)著作は全部で百部余りあって、すべて後世に伝えるべきものである」となります。

 

 

第3文「本集百五十巻」

 

 

この文のポイントは特にありません。「(林羅山の)本集が百五十巻もある」という意味です。

 

 

第4文「雖詞不工、其言足徴者甚多」

 

 

この文のポイントは①「雖」、②「足」、③「者」ぐらいでしょうか。

 

すべて重要語句ですので押さえて置きましょう。

特に「雖」と「足」は入試では頻出の単語になりますので分からない人は教科書で確認しましょう。

 

問題文より「雖詞不工」は「詞工みならずと雖えども」と書き下すようです。

・「詞」は「台詞」や「歌詞」といったように「ことば」としての意味を持つようです。

・「工」は「巧み」と同じ意味です。

・「雖」は「いえども」と読み、〈逆接〉の接続語です。

 

後半の「其言足徴者甚多」は「其の言徴足る者甚だ多し」と書き下します。

「(林羅山の)言葉遣いは巧みとはいえないものの/その言論は引用するに値するものが非常に多い」という意味になります。

 

 

◎「者」の多様な用法

「者」には多様な用法があります。

それ自体の意味として「もの・こと・人・場合」を表します。

「ー(スル)者[は]」で「〜するのは、〜する場合は」というような意味にもなります。(提示の「者」)cf.「也」

「何者[なんぞ]ー」で「誰が〜のか」というような疑問(who)というような用法もあるので注意が必要です。

 

 

第5、6文「暮年視聴不衰。勤力猶少年。」

 

 

ポイントは①「猶」の用法と②「勤力」の訳出でしょう。

 

①「猶」は再読文字です。「猶ほ〜のごとし」と読み、「ちょうど〜のようだ」という意味になります。

「猶ほ少年のごとし」は「まるで若いときのようだ」という意味になります。

 

②「勤力」の訳出についてはここまでの文脈で確定しなくもないですが、後の文章を読んで自信を持って解答しましょう。

それでも結局「本を読む姿勢(意欲)」であることは明らかではないでしょうか。。。

根拠としては「於天下書、無不読。」や「二十一史、自少読之者数回。」など「本を読む」ことが主題なわけですからそこまで難しくはないのではないでしょうか。

 

品詞分解すると「〈暮年(M)〉/視聴(S)不衰(V)/、勤力(S)猶少年(P)」という感じかなと思います。

 

 

第7、8文「二十一史、自少読之者数回。而晋書以下未句。」

 

 

重要語句の「自」、「少」、「者」、「而」、「未」と続きます。

 

◎「自」は「自[みずか]ら」や「自[おのずか]ら」、「〜より」といったように読みと訳出に注意しなければならない単語です。

・「自[みずか]ら」=「自分から、自分で」

・「自[おのずか]ら」=「自然に、当然に」

・「自[より]ー」=「〜から」

 

「少き」→「幼少」というような熟語を想像してもらえればOKです。

少年の「少」も「若い」という意味です。

 

「而」は色んな用法がありますが、文頭の場合は〈逆接〉の接続語「而[しか]れども」と読み、「しかし〜」という意味。

 

「未だ〜ず」は再読文字です。「まだ〜しない」(=not  yet)という意味です。

 

品詞分解すると「二十一史(S)、〈自少(M)〉読之者数回(P)」でも構いませんが、

正確には「林羅山が少きより二十一史を読むこと数回」なので「二十一史」は前に出た目的語?とも取れますが

読めればOKなのでさらっと流して大丈夫です。

 

 

第9、10文「及年七十四、欲遍句之。是歳、晋書・宋書・南斉書、畢業翌年蓋棺。」

 

 

ポイントは①「欲」、②「遍」、③「畢」でしょうか。

 

①「欲」は願望形と呼ばれる句型です。意味は「〜したいと思う、〜しそうだ」というwant  to/be  going  toのようなイメージ。

願望形には「願[ねが](わくは)ー(せよ)/(せんことを)」=「どうか〜してください/させてください」や

「請[こ](ふ)ー(せよ)/(せん)」などもあるので覚えましょう。

 

→「欲」、「願」、「請」は願望形と覚えましょう。

 

②「遍」(あまねく)は重要語句です。「すみずみまで」という意味です。

 

③「畢」は「終」と似たものになります。今でも「畢竟(ひっきょう)」=「結局は/つまり」という意味で用いられます。

 遂・終・卒・畢・竟は「ついに」と読み、「結局、とうとう」という意味を持ちます。

 「終」は「終わる」という読みと意味を持ちますが、今回の「畢」も同様の用法です。

 また「卒」には「にわかに」という読みがあり、「急に」という意味があるので注意しましょう。

 

*また今回の「蓋棺」の意味を類推するのは難しいかもしれませんが、「棺」という文字もあるので

ここでは「亡くなった」と連想できればOKです。

 

品詞分解すると「〈及年七十四(M)〉、欲(V){〈遍(M)〉句(V)之(O)}/、〈是歳(M)〉、晋書・宋書・南斉書(M or O)、畢(V)業(O)/〈翌年(M)〉蓋(V)棺(O)」となります。

 

本文を通して林羅山が主語なので省略されていますが補ってください。

後半の「晋書〜」は主語ではなく、先ほど同様、「業」(つまり晋書〜を読むこと)の内容が前に出てきていると考えるのが正確なのかもしれませんが読めればOKです。主語は林羅山なので「林羅山が全部読み終えた」と読めれば正解。

 

 

さて全文を重要語句・句型と品詞分解について見てきました。

 

やってみると結構作業に近い感覚なのではないでしょうか???

 

漢文は最初に手をつける作業は頭をほとんど使いません。

 

漢文で頭を使うのは白文書き下し、現代語訳、内容の読解、単語の連想ゲーム、送り仮名の補完くらいです。

 

これも慣れてくると作業に近い感覚になりますので実践していきましょう。

 

では一応問題にも触れておきましょう。

 

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問1 「於」と「自」の読み

 

これはよく見かける問題ですね。

・「於」は「おいて」しかないので即答できます。あとは置き字の用法「ヲ・ニ・ヨリ・モ」くらいです。

・「自」は「みずから」、「おのずから」、「より」と読みますので②か⑤しかありません。

 「みずから」と「おのずから」は副詞としての用法なので返り点がつくことはありません。

 「自○」という形で「〜より」と読むのでこれもほぼ即答できます。

 

問2 「雖詞不工」の返り点をつける

 

返点をつける問題はセンターでもありますが、内容に合致するように返点をつけることが多いです。

「詞工みならずと雖えども」と問題文に付されているのはかなり易しめです。

読む順番が分かりますので返り点のルールに則りましょう。

「雖[4]、詞[1]、不「3」、工[2]」なので「雖」には二点、「不」には一レ点が付きます。

ヒントなしでも品詞分解すれば同様の解答が導けます。

「〈雖(M)、詞(S)、不工(V)〉」なので簡単ですね。

 

問3「足徴」の「足」の意味

 

ここでの「足」は「〜足る」という意味です。

①の「充足」(=みたす)の「足」が正解です。

②〜④は全部「あし」ですね。

 

問4 「勤力猶少年」の口語訳

 

ポイントは①「猶ほ〜のごとし」の訳出、②「勤力」の訳出です。

書き下しがまずできるかというのがポイントです。

「猶」は再読文字ですので気を付けてくださいね。

 

書き下すと「勤力猶ほ少年のごとし」となります。

 

直訳すると「勤力はまるで若いときのようだ」となります。

 

※「少年」≠「少年(子ども)」ですので注意!あくまで「若いころ」と訳出しましょう。

 

次に「勤力」とは何だとなります。

ここまでの文脈でも理解できますが、後ろの文章もよく読んで解答しましょう。

「勤力」=「読書する意欲」ですね。

 

このポイントをまとめて口語訳すると

 

「(林羅山の)読書に対する意欲はまるで若いころのようだった」となります。

→「(林羅山は)若いころと同じように読書に励んだ」でも可(◎)。

 

問5 内容正誤

 

内容に合致するものを選びましょう。

①→「推薦した」とは書いていません。

②→「書物を利用して/歴史書の解説をした」どちらも書いていません。

③→「及年七十四」以降の内容に合致します。正解です。

④→「精読を優先した」とは書いていません。むしろ多読してますね。。。

 

※書き下し文と現代語訳を載せておきますね。

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実践編(1)の解説は以上になります。難しかったかな? でも漢文は基本を押さえてしまえば簡単ですので、少しずつ実践していきましょう!!!

分からないところがあったらdmでもなんでも質問してくださいね。ではでは〜〜。