食べることの哲学・解答編
前回の続きです(`・д・)σ
私たちはアンパンマンとカニバリズムという話題を通して臓器移植やバイオテクノロジーに通じる問題意識を共有してきました。
前回を見てない人は下にリンクを貼りますので見てみてください。
それでは設問を見ていきましょう。
1.問一 漢字の記述
問一は文中のカタカナを漢字に改める問題です。該当箇所はそれぞれ以下のとおりです。
(a)一定のカンカクをもって……
(b)多種多様にフキュウしている……
(c)異様なフンイキをかもしだす……
(d)飢えにキインする……
(e)現実的にリンショウの場面でも……
漢字の記述はキーワードとなりうるような漢字が聞かれることが多いため、現代文の単語帳を用いて学習することが一番効率がいいかと思います。
【解答例】
(a)間隔
(b)普及
(c)雰囲気
(d)起因
(e)臨床
難易度はやや易というところでしょうか。
頻出の単語ばかりなので確実に点数を取りたいところです。
2.問二 説明・言い換え
問二 傍線部(ア)「さらに業の深さを感じさせる」とあるが、どういうことか。八十字以内で説明しなさい。
説明・言い換え問題は「根拠拾い」です。基本的にはここに解釈の余地はありませんので、問題文を構成する要素を文中(特に前後)から探すだけの簡単なお仕事です🤔
背景(前提)→展開(理由)→帰結(結論)
という順番を意識すると分かりやすいと思います。
今回の帰結は当然「さらに業の深さを感じさせる」になります。
背景には
「自分の肉」や「他人の肉」を食べさせることより「自分の顔」を食べさせること
展開は
「顔」=「人格性」を決定する器官であり、それを食べることは
帰結
「業の深さを感じさせる」
→異様さ、衝撃を与える
という流れがあるかと思います。
これを80字でまとめましょう。
【解答例】
背景と展開が帰結に結びついていることを確認しましょう。
3.問三 説明・解釈
問三「アンパンマンは個別的な存在であるが、そうであるとは限らない」とあるが、どういうことか。八十字以内で説明しなさい。
解釈問題といいつつも、言い換えです。問題文と解答が同じ意味になるように、背景、展開、帰結を探していくだけです。
問題文は
「アンパンマンは個別的な存在である」…①
「そうであるとは限らない」…②
という2つの要素に分解できます。
では個別的な存在とはなんでしょうか?
アンパンマンの奇妙な設定を思い出してください。
アンパンマンの顔は唯一性を持つものです。
顔が食パンやカレーパンなどではアンパンマンではないのです。
私という存在が個別的=他者と区別できるのは唯一性すなわち顔という器官を持っているからです。これが個別的な存在という意味です。
しかし、アンパンマンには奇妙な設定…すなわちその顔(唯一性)が取り替え可能であるという点があります。
唯一性を表す顔が取り替え可能であるということはアンパンマンという存在が不確定であることを表します。
食べられたアンパンマン、汚れたアンパンマンは、顔を取り替えれば、また新しいアンパンマンになるのです。
新しいアンパンマンと古いアンパンマンは、連続しているように見えますが、唯一性を取り替えたため、人格が同一かどうかはわかりません。
そういう意味では個別的な存在であるとも言い切れないのです。
この流れを八十字でまとめましょう。
【解答例】
解釈問題は問題文と解答が同じ内容となるようにしましょう。そのためには問題文を丁寧に読み解く必要があります。
4.問四 説明・要約
問四「ますますアンパンマン的状況が広まっている」とあるが、どういうことか。臓器移植の事例に即して、八十字以内で説明しなさい。
要約の問題は本筋を追うことが大事です。
背景と展開に着目して帰結に繋がるかどうかを確認しましょう。
今回の場合は解釈問題と捉えて、抽象から具体に落とし込むやり方もできなくはないですが、難しいと思いますのでチャレンジしてみてください🤔
アンパンマン的とはどういうことか?
繰り返しですがアンパンマンの特徴は、顔が取り替え可能である点です。現実においても臓器移植の場面においては取り替えが可能になってきているというのが流れになります。
特にそれはアンパンマンと同様に生きたまま移植することが可能になったということです。
この流れをまとめましょう。
【解答例】
抽象から具体へ落とし込む必要があるため、少し難しいですが平易な文章であるため、標準といった難易度でしょうか。
5.問五 説明・解釈
問五「無限複製されるアンパンマンの自己犠牲は、おそらくやなせが思いつきもしなかった卓見を含んでいるのだろう」とあるが、どういうことか。本文の論旨を踏まえた上で、百六十字以内で説明しなさい。
言い換えや要約の問題とも言えますが、解釈問題として問題文と解答を一致させることを目指しましょう。
解釈の手順は問題文の分解から始まります。
問題文を大まかに分解すると、要素として
「無限複製されるアンパンマンの自己犠牲は、」…①
「おそらくやなせが思いつきもしなかった」…②
「卓見を含んでいるのだろう」…③
と分けることができます。
それぞれをさらに細かく見ていくことになりますが、方針としては
①…無限複製と自己犠牲について言い換える必要がある。
②…作者の意図から離れている点
③…卓見とはどういうことか。
をまとめる必要がある。
また本文の論旨に即してとあるため、問題意識としてある現実の「アンパンマン的」な状況=臓器移植問題について触れておきたい。
これまでの流れを確認し、まとめましょう。
【解答例】
文字制限が160字と多い一方で、まとめなければならない要素も多いため、重要度に応じてまとめる工夫が必要です。内容理解は平易ですがまとめる工夫が必要となるため、難易度としては標準~やや難だと思います。
問題・解説編は以上になります。抽象的な哲学が現実の問題になっているという点では非常に重要度の高い問題文でした。
また機会があれば議論のテーマとしても扱えるかと思いますので議論しましょう!💪
最後までお付き合い頂きありがとうございました。相変わらず不評だと思いますが続けていきたいと思います。
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グッドバイ🍀