お蔵入り解説編
この前の問題の第三問だけ解説(採点基準)を書いておきたいと思います。
問題を見ていない人は前回の投稿を見てくださいね。
あくまで現段階の草案的なものなので参考までに。
1.年金問題と世代間正義
2.ダフ屋規制の正当性
3.クオータ制の是非
1.年金問題と世代間正義
日本の年金制度は問題文にもあるように国民皆保険・社会保険方式・世代間扶養(賦課方式)を採用しています。年金制度の要素について自分の立場から評価すること。その理由を記述することが重要です。そのうえで世代間の負担格差について自分の見解を述べているかどうかを評価したいと思います。
自分の立場を理解することがこの問題の最大のポイントです。例えば、功利主義なら年金制度をそのように設定すれば最大多数の最大幸福を得られるか?を記述しなければなりません。また、負担と受給の世代間格差をどのように考えるかも重要です。短期的な効用のみを考慮するのか、それとも長期的に考慮するのか。
㌽② 社会保険方式→年金制度は所得の再分配機能も含まれている点に注意しなければなりません。
㌽③ 賦課方式→必ずしも賦課方式が悪というのは尚早です。確かに賦課方式は少子化には不利に働きますが、インフレ対策には効果を発揮します。一方、積立方式は少子化等の人口変動には影響を受けませんが、インフレには不利に働きます。現行の年金制度が賦課方式で少子化だからといって破たんするという結論はすぐには導き出せません。
㌽④ 世代間格差→格差は悪か?平等は重要か?世代間とはどのように区切るべきなのか?格差是正のために何ができるのか?
㌽⑤ 世代間正義→過去・現在・未来を通じた普遍化可能性。特に将来世代への配慮は慎重に記述しなければならない。 cf.不可知性、一方向性、非同一性問題等
㌽⑥ 他の選択肢→社会保障の問題において他の選択肢からアプローチすることも可能です。cf.ベーシックインカム等
2.ダフ屋規制の正当性
ダフ屋はいわゆる転売屋ですが、転売屋は世の中にたくさんあります。なぜダフ屋が禁止されるのか、その正当性を他の転売屋を考慮しながら慎重に記述しなければなりません。直観的にはダフ屋規制は正当化したいと思う人が多いようですが、考えてみると意外と難しいのではないでしょうか?
㌽① ダフ屋は規制するべきか? →最初に立場を明確にしておくことが大事です。
㌽② 誰もが納得する取引とは? →抽選方式、先着方式に関わらず、全員に資源を供給できない場合、どのような取引が公正か?
㌽③ 需要と供給による価格決定 →転売値上げのすべてを非難することは難しい
㌽④ 取引の目的に照らす →例えばコンサートチケットを購入した場合、購入者がコンサートにいかない行為に非難できるか?転売する選択肢は?
㌽⑤ 誰にお金が流れるか? →反社会的勢力排除を根拠とできる?…公認のダフ屋?
㌽⑥ 美徳をめぐる議論 →直観的反感、道徳観
㌽⑦ 幸福と自由 →ダフ屋は幸福に資するか?買い手の自由を阻害しているか?
3.クオータ制の是非
国会議員の男女比率は男性の方が多いのは事実ですが、それ自体悪いことなのか?
国会議員の男女比率に差があるのは格差か?それとも差別と呼べる事態か?
㌽① 男女比=1:1が望ましい? →女性の意見は女性しか言えない?一部のマイノリティを優先することはなぜ正当化されるのか。 ⇄ 国会議員は国民の代表であって女性の代表ではない。
㌽② ポジティブアクションの問題 →逆差別への配慮
㌽③ 「女性」を利用する男性、女性 →本質的な平等とはどのようにして実現されるのか?数の平等が実質的な平等か?
㌽④ 「ガラスの天井」問題 →何%目標は頭打ち?
㌽⑤ 諸外国と比べて…? →女性の比率は確かに低い。その原因は?
㌽⑥ どのようなクオータ制が望ましいか? →名簿式、議席式?
4.採点基準
〇 配点(40点)
(1)立場を明確にして ・・・ 10点(※ダメ!曖昧)
(2)根拠を示して ・・・ 10点
(3)論理的整合性 ・・・ 15点(15点・12点・9点・6点・3点・0点)
(4)結論を示して ・・・ 5点
(5)斬新さ ・・・ (最大5点までの加点)
解いてみた方採点、添削しますのでDMまで!!
待ってるよ!!!